社労士・兵藤恵昭の独り言

団塊世代の社会保険労務士・兵藤恵昭のブログです。兵藤社会保険労務士事務所・内容は雑多です

令和4年10月、後期高齢者窓口負担割合が変更となった!

(今回の法律改正のポイント) 令和4年10月1日から、現役並み所得者を除き、75歳以上の方等で一定以上の所得がある方は、医療費の窓口負担割合が1割から2割に変わります。また、窓口負担割合が2割となる方には、外来の負担増加額を月3,000円までに抑える配慮…

中小企業2023年4月から、月60時間超の時間外割増賃金率が50%へ引き上げ!

2023年4月からは中小企業を含むすべての企業において、月60時間を超える時間外労働の割増賃金率が50%となる。対応しないと法的に罰せられる可能性もあるため、各社は長時間の時間外労働を減らすために業務効率化などの対策が必要となる。 中小企業の月60時…

懲戒解雇処分該当として、支給済み退職金を返還できるか?

本件は、退職金支給後に、背信行為として懲戒解雇処分に該当したと判断し、会社が退職金返還請求をした事件である。(東京地裁・令和4年6月10日判決) (事件の概要) 本件の原告は生命保険会社(Ⅹ生命)で、被告となった元社員2名(婚姻関係あり)は、いず…

生保外交員の経費の給与天引きを違法とした判例。

営業で使用する携帯電話や訪問先に配る品などの費用を給料から天引きするのは違法であるとして、住友生命京都支社の保険外交員の50代の女性が天引き分の支払いを求めていた訴訟で、京都地裁が約35万円の支払いを命じた。 同社では顧客に保険商品を紹介す…

自由律俳人・尾崎放哉・寂寥感の人生

「海も暮れきる」吉村昭著・講談社文庫2011年5月発行 本書は口語自由律俳人・尾崎放哉の小説。肺結核の放哉は最後の死に場所として小豆島を目指した。大正14年8月、小豆島に到着する。 放哉が小豆島霊場58番札所・西光寺奥の院「南郷庵」の庵主として翌年4月…

ジョブ型雇用制は日本で可能か?

「人事の組み立て・脱日本型雇用のトリセツ」海老原嗣生著・日経BPマーケティング2021年4月発行 著者は1964年生まれ、リクルートエイブリック入社後、人事コンサル会社を設立した雇用ジャーナリストである。 2020年1月、経団連は報告書を発表「日本型雇用制…

ジョブ型雇用とは何か?

「ジョブ型雇用社会とは何か・正社員体制の矛盾と転機」濱口桂一郎著・岩波新書2021年9月発行 著者は1958年生まれ、労働省入省、現・労働政策研究研修機構労働政策研究所長。 著者は、2009年「新しい労働社会・雇用システムの再構築」岩波新書で、日本労働社…

個人労働契約による家事労働は労災適用外!

家事労働業務による過労死の労災申請認めず。家事労働は、個人との労働契約のため、労働基準法規定で、労災適用除外の論理。杓子定規な判決である。 一方で、一体となって実行された介護業務は、法人との労働契約のため、労災適用可能も、介護従事時間は少な…

再考「日本においてジョブ型雇用は可能か?」

雑誌・エコノミスト今週号に神戸大学准教授・江夏幾太郎氏が「ジョブ型に向けた人事改革のカギ」記事が掲載されている。 ジョブ型人事のポイントは「なにができるか?」でなく、「なにをさせるか?」に着目する点にあると言う。ジョブ型の人事施策の設計・運…

ゾンビ企業が増加している!

コロナ危機の中小企業向け「ゼロゼロ融資」でゾンビ企業の延命が進んだ。 ゼロゼロ融資で返済は3年間据え置きが多い。2023年からはその返済が開始される。 ゾンビ企業の返済不能となる中小企業が増加するだろう。 (ゾンビ企業の定義と企業数) 業歴10年以上…

マンションの「二つの老い」

「60歳からのマンション学」日下部理絵著・講談社+α新書2022年4月発行 著者はマンション管理士・管理業務主任者試験合格、管理会社勤務を経て、現・マンショントレンド評論家。「負動産マンションを富動産に変えるプロ技」の著書がある。 最近、子供が自立…

時間外・深夜・休日労働の時間計算における端数処理

2022年6月、外食産業大手「すかいらーくホールディング」のパート・アルバイト従業員の賃金計算で「5分未満切り捨て処理していた」ことが問題となった。 会社側は労基法違反を認め、今後は1分単位に変更、約9万人の2年間の未払い分、16~17億円を支払うと報…

コロナで働き方は変わったか?「仕事から見た2020年」

「仕事から見た2020年・結局、働き方は変わらなかったのか?」玄田有史・萩原牧子編・慶應大学出版会2022年3月発行 編者・玄田は1964年生まれ東大教授「人手不足なのになぜ賃金が上がらないのか」の著書がある。萩原は1975年生まれリクルートワークス研究所…

働かないオジサンが悪いのか?働かせない経営者が悪いのか?

「働かないおじさんが御社をダメにする・ミドル人材活躍のための処方箋」白河桃子著・PHP新書2021年3月発行 著者は1961年生まれ、住友商事入社後、リーマンブラザーズ、クレティ・スイス等外資系企業に勤務したジャーナリストである。 著者は、今回のコロナ…

いじめ、嫌がらせは職場体質に問題がある!

「大人のいじめ」坂倉昇平著・講談社新書2021年11月発行 著者は1983年生まれ、NPO法人POSSEの理事、ハラスメント対策専門家である。「ブラック企業VSモンスター消費者」の著書がある。 本書は「職場いじめ」の現場報告である。著者はハラスメント現場を長く…

労働運動が犯罪行為になる?

「賃金破壊・労働運動を犯罪にする国」竹信三恵子著・旬報社2021年11月発行 著者は朝日新聞記者・編集委員(労働担当)を経て、現在和光大学名誉教授。「企業ファースト化する日本・虚妄の働き方改革を問う」岩波書店の著書がある。 本書は、産別労組である…

格差克服の「社会エレベーター」とは何か?

2022年1月5日日経新聞に「成長の未来図・格差克服の社会エレベーター」の記事が掲載された。翌日「羽鳥慎一モーニングショー」でも玉川氏が話題とした。記事によると 「社会エレベーター」とはOECD(経済協力開発機構)の指標の一つ。社会の最貧層(全体の下…

貞観政要・最高のリーダー論

「座右の書・貞観政要・中国古典に学ぶ世界最高のリーダー論」出口治明著・角川新書2019年12月発行 著者は1948年生まれ、日本生命出身でライフネット生命創業者、立命館アジア太平洋大学学長、読書家として有名。 「貞観政要」は、唐の第二代皇帝・太宗・李…

三国志に人事管理を学ぶ

「人事の三国志・変革期の人事、人材登用、立身出世」渡邉義浩著・朝日選書2019年6月発行 著者は1962年生まれ、古典中国学専攻の文学者。古代中国の君主と官僚・名士とのせめぎ合い、相互制御の君主制を「名士論」と名付け、古代君主制の特殊性を特徴つける…

テレワークは定着するか?

「誰のためのテレワーク?・近未来社会の働き方と法」大内伸哉著・明石書店2021年5月発行 著者は1963年生まれ、神戸大学大学院法学研究科教授。AI時代の働き方と法、非正規社員改革など「働き方改革」問題に積極的に発言している。 コロナ下のテレワークは近…

「偉い人ほどすぐ逃げる」

武田砂鉄著「偉い人ほどすぐ逃げる」文藝春秋2021年5月発行の本を読む。 偉い人は嘘をつき、真っ先に逃げ出す。国民には「逆らうのは良くないよね」の雰囲気が蔓延する。 言葉が劣化し、悪事があっても「いつまでそんな問題をやっているのか?」の声が出る。…

これからの働き方はどうなる?

「未来の働き方を考えよう」ちきりん著・文藝春秋2013年6月発行 著者は「Chikirinの日記」で人気のブロガー。本名、顔を公表しない。国立大法学部卒後、大手証券会社入社、米国でMBA取得、外資系コンサル会社に勤務した経営コンサルタントらしい。 本書は、…

賊軍は棄て去られる!

先日、小田急線電車内で多くの人を刺傷した事件が起きた。36歳の犯人は「勝ち組を殺したい」と言ったようだ。 人間を勝ち組、負け組に区別するのがおかしい。敵、味方でも同じ人間だ。憎しみの心が人を狂わせる。 函館戦争の一環として、榎本武揚軍の開陽丸…

博徒・津向文吉の墓参りをしました。

昨年10月、コロナ騒動一息ついだ頃、山梨県西八代郡市川三郷町にある博徒・津向文吉の墓に行った。 津向文吉の子孫で宮沢家現当主にお会いした。宮沢家は代々地主で、江戸時代は街道で旅籠を経営していた。 当主は地元学校の教師を定年退職、「畑仕事が楽し…

コンビニ加盟店従業員未払い賃金に対してコンビニ本部が解決金支払!

2015年9月、ローソン加盟店元従業員が未払い賃金1,300万円支払請求を提訴した。 加盟店店主は自己破産、支払能力なし。FC本部に注意義務違反により支払義務発生したという。 男性従業員は2007年、加盟店にバイトを始める。2010年、正社員になる。 店主のパワ…

労災「過労死ライン」基準見直しの動き

2021年6月22日開催された厚労省有識者検討会の報告書案に過労死ラインの基準見直しの案が検討された。 脳・心患による労災認定基準による「過労死ライン」は、現在、月間残業80時間以上を基準とする。 今まで、弁護士、遺族は、この基準を月間65時間以上とす…

人は自分の死期を悟れるか?

終末医療の専門医で緩和医療医の大津秀一氏の著書「死ぬときに人はどうなる10の質問」の中に「自分の死期を悟ることができるか?」の問いがある。 答えは、はっきりと悟るか、曖昧に悟るかの違いはあるが、大体悟ることができるという。 幕末の剣客・山岡鉄…

G7サミット会議参加国における日本の現在の経済力?

G7サミット会議が先進国の7か国とゲスト韓国が招かれて開催された。 各国の中で日本の経済力はどのランクにあるのか? 一人当たりGDPで比較する。資料はIMF2020年「購買力平価」基準である。 為替相場は変動が大きく、物価水準考慮の購買力平価が比較的妥当…

昼休み時差休憩実施に労使協定締結を義務化

昼休みの時差休憩実施に労使協定締結の義務化 政府はコロナ対策での感染防止のため、昼休み時差休憩の弾力活用を進める。 昼休みの時差取得は、サービス業など業種、一斉休憩を取りずらい職種に限定されていた。 今回、労使協定締結すれば、全ての職種で適用…

2020年・1年間の新型コロナ労災適用者は6,041人

厚労省は昨年1年、コロナ労災申請で4日以上休業した者の人数を公表した。 それによると、総人数は 6,041人である。 内訳は ①医療・保健施設関係 2,961人 (49%) ②社会福祉施設関係 1,600人 (26%) ③製造業 345人 (6%) ④建設業 187人 (3%) ⑤飲食店 …