厚生省は「2022年の訪問介護事業所の平均利益率は7.8%である」と2023年11月公表した。
その中で、介護業22業種の平均利益率は2.4%であり、訪問介護事業所は平均以上の利益率を確保している。これに基づき、2024年4月より介護報酬基本料を引き下げる決定を行った。
国会審議のなかで野党より、訪問介護事業所の利益率分布状況の調査の要求され、今回、その結果が発表された。
それによると、利益率ゼロ%未満赤字経営の訪問介護事業所は36.7%を占めた。残りの黒字事業所を含めた平均利益率が7.8%の数字である。
中小訪問介護事業者は、1軒1軒訪問する介護先が主体で、移動費、待ち時間などがあり、効率が悪く、コストが上昇する。
一方で、大規模訪問介護事業所は、サービス付き高齢者向け住宅で、短時間に多くの入居者を効率良く、訪問介護ができるため黒字経営となる実態が明らかになった。
単に机上の計算により、官僚が介護報酬基本料の変更を決定すると大きな過ちが発生することが分かる。訪問介護業界は低賃金で人が集まらない。介護報酬引き下げで、賃金引き上げはさらに困難になる。