「未来の働き方を考えよう」ちきりん著・文藝春秋2013年6月発行
本書は、雇用延長、100年人生時代、年金問題などの中で、若者たちにいつまで、どのように働くか?を問う。「定年本」が中高年向けなら、本書は若者向け「働き方本」である。
最近「ファイア」という言葉が話題である。ファイアとは、現役時代に節約して資産を貯め、定年を待たずに早期退職、後半人生を資産運用で自立した生活を楽しむ生き方を言う。
そのためには、年4%の利回り確保で十分生活できる資産を貯める必要があると言う。本書はこの現象を10年前に予想しているような本である。
著者の結論は、2012年、リンダ・グラットン氏(ロンドンビジネススクール教授)の著書「ワークシフト」の主張と似ている。
リンダ氏はワークシフトで2025年の未来には孤独と貧困から自由となる働き方が重要と主張、その理由として下記の社会的変化を挙げる。
リンダ氏は将来の新しい働き方として、①ゼネラリストから連続スペシャリストへ、②孤独な競争から全員でイノベーションへ、③金儲けと消費から価値ある経験へ、と三つの道を示し、主体的、納得感のある未来を築くことが重要だと主張する。
一方、著者は若者に三つの生き方を求める。①手に入れたい自分の人生を明確にする。つまりやりたいことをする。②複数の将来シナリオを持つ。二種類の人生を生きる。③市場で稼ぐ力を付ける。それらは難しくはない。ちょっとした工夫で可能だ。この三つの道である。
上記二冊の本を比較して読むとより理解しやすい。現在、政治、法律、企業、労働者の間で「働き方改革」が話題である。