(「改善基準告示」とは?)
「改善基準告示」とは、トラック、バスおよびタクシー・ハイヤーのドライバーの労働時間に関する基準で、正式名称は、「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」を言います。
改善基準告示は、2022(令和4)年に改正され、2024年4月1日から施行されます。
(拘束時間・休憩時間・休息時間とは?)
改善基準告示では、始業時刻から終業時刻までの時間を拘束時間といいます。拘束時間には、労働時間のほか、休憩時間(拘束時間内の休憩する時間を言う)も含まれます。
(労働時間とは?)
労働時間は、2つの時間(作業時間・手待ち時間)に分類されます。
各日の拘束時間が改善基準告示を満たしているかどうかは、始業時刻から起算した24時間以内の拘束時間を確認する必要があります。
(作業時間・手待ち時間とは?)
作業時間とは、運転や車両の整備、荷扱いをする時間をいう。
手待ち時間とは、バスやタクシーの運転手における客待ち、トラック運転手における荷待ちの時間をいう。
(注意点)
例えば、1日目が9時~21時(12時間)の始業・終業で、翌日の2日目に7時から始業すると、翌日7時~9時の2時間も24時間以内としてカウントされ、1日目の拘束時間は14時間となります。
一方、各月の拘束時間が改善基準告示を満たしているかどうかは、1カ月間の各勤務の拘束時間の合計を確認すれば足ります。
勤務と次の勤務の間の時間で、睡眠時間を含む労働者の生活時間として、労働者にとって全く自由な時間を休息期間といいます。
(トラック運転手の場合)
現行基準(原則)
- 1カ月の拘束時間は原則として293時間が限度とされています(労使協定を締結した場合には、1年のうち6カ月までは、1年間の拘束時間が3,516時間を超えない範囲内において、1カ月の拘束時間を320時間まで延長可)。
- 1日の拘束時間は13時間以内を基本とし、延長する場合であっても16時間が限度とされています。なお、1日の拘束時間の延長については、15時間を超える回数は1週間につき2回を限度としなければなりません。
- 1日の休息期間は、勤務終了後継続して8時間以上必要であるとされています。
現行基準の休憩時間・休息時間の特例
- 勤務終了後、継続して8時間以上の休息期間を与えることが困難な場合には、一定期間(2週間から4週間程度)における全勤務回数の2分の1の回数を限度として、1回当たり継続4時間以上、合計10時間以上の休息期間を、拘束時間の途中および拘束時間の経過直後に分割して与えることができる。
- 身体を伸ばして休息することができる設備のある車両に運転者が2人以上乗務する場合、1日の最大拘束時間を20時間まで延長でき、休息期間を4時間まで短縮できる
但し、業務の必要上やむを得ない場合、①2暦日における拘束時間が21時間を超えないこと、②勤務終了後継続20時間以上の休息期間を与えることとの条件の下の、隔日勤務に就かせることができる - 運転者が勤務の途中においてフェリーに乗車する場合、フェリーの乗車時間は休息期間として扱う
(改正される「改善基準」の原則)
拘束時間上限が月284時間に(原則)、年間は3,300時間(原則)に変更される。
1年の拘束時間は3,300時間が限度、1カ月の拘束時間は原則として284時間が限度とされました。
なお、労使協定を締結した場合には、1年の拘束時間を3,400時間、1カ月の拘束時間を310時間(年6カ月まで。284時間以上は連続3カ月まで)まで延長することができます(改正改善基準告示4条1項1号・2号)
1日の拘束時間は13時間以内を基本とし、延長する場合であっても15時間が限度とされました。
なお、1日の拘束時間の延長については、14時間を超える回数は1週間につき2回を目安としなければならないとの制限があります(同項3号・4号)
1日の休息期間は、勤務終了後継続して11時間以上が基本で、9時間を下回ってはならないとされました(同項5号)
(特例の改正について)
トラック運転手の拘束時間や休息期間に関する特例は、休憩の分割について、下記のように改正された。
勤務終了後、継続して9時間以上の休息期間を与えることが困難な場合には、一定期間(1カ月程度)における全勤務回数の2分の1の回数を限度として、
1回当たり継続3時間以上、2分割する場合は合計10時間以上、3分割する場合は合計12時間以上の休息期間を、拘束時間の途中および拘束時間の経過直後に分割して与えることができる(休憩を分割して与える場合は、3分割が連続しないよう努める必要有)と改正された。
(改善基準告示4条4項1号)、2人乗務およびフェリーに関する特例に大きな変更はありません。