社労士・兵藤恵昭の独り言

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名張毒ぶどう酒事件再審認めず!最高裁

三重県名張市で1961年、農薬の入ったぶどう酒を飲んだ女性5人が死亡した「名張毒ぶどう酒事件」の第10次再審請求の特別抗告審で、最高裁第3小法廷は、2015年に89歳で病死した奥西勝・元死刑囚の再審開始を認めない決定を出した。

元死刑囚の死後に遺族が申し立てた再審請求を棄却した名古屋高裁決定が確定する。裁判官5人のうち4人の多数意見。宇賀克也裁判官は「再審を開始すべきだ」との反対意見を付けた。(2024年1月29日)

第10次再審請求審で、弁護団は元死刑囚以外の人物が毒物を混入したことを立証するため、ぶどう酒瓶の外ぶたの取っ手部分に巻かれていた「封かん紙」が貼り直された可能性を示す科学鑑定書を新証拠として提出した。

その評価が争点で、長嶺安政裁判長は「何者かが封かん紙を破ってぶどう酒に毒物を混入後、再度封かん紙をのりづけした可能性を示す証拠価値を有しない」と判断した。

弁護団は、封かん紙の付着物を鑑定し製造時と成分が異なるのりが重ね塗りされていたと主張。「真犯人が毒物混入後に封かん紙を貼り直したことを示す」として、犯行の機会が元死刑囚にしかないとの確定判決の根拠が覆されたと訴えた。

しかし、第3小法廷は、封かん紙の採取や保管の過程で何らかの物質が付着した可能性もあり「科学的根拠のある合理的なものとは言えないとの高裁決定は相当」と結論付けた。

反対意見を付けた宇賀裁判官は「鑑定には高い信用性が認められ、確定判決の有罪認定に合理的な疑いが生じている」とした。「『疑わしい時は被告人の利益に』という刑事裁判の鉄則に反するように思われる」とも指摘した。

宇賀裁判官は、行政法が専門の元東京大教授で、19年3月に最高裁判事に就任。1票の格差が最大2.08倍だった21年10月の衆院選を巡る訴訟では、宇賀裁判官のみ違憲との反対意見を出すなど、民事事件で積極的な憲法判断を示してきた。

(5人の裁判官の経歴)

長嶺安政裁判長(外務省官僚・特命全権大使出身)

宇賀克也(行政法学者出身)

林道晴(東京高裁長官出身)

渡邉真理子(弁護士出身)

今崎幸彦(東京高裁長官出身)

最高裁でまともな裁判官は宇賀克也裁判官しかいない?

 

判決文は下記参照ください。

092687_hanrei.pdf (courts.go.jp)

名張毒ぶどう酒事件ついては下記参照ください。

名張毒ぶどう酒事件 | 日本大百科全書 (japanknowledge.com)